大判例

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東京高等裁判所 昭和24年(新を)2319号 判決 1950年4月25日

被告人

古口春雄

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人の控訴趣意第三点について。

原審公判調書を見ると原判決に証拠として採用されている津村重舍、寺島久各提出に係る盜難被害届(写)について証拠調を為すに当り裁判長はその取調を請求した検事をして朗読させた旨の記載があるのみで特に展示した趣旨の記載はないが右朗読は被告人の面前においてなされており被告人及び原審弁護人において親しく手に取つて調べうる機会は与えられていたのであるが被告人及び弁護人は右被害届(写)の成立について之を認めておるのみか証拠調に関し異議を申立てることもしなかつた事実も同公判調書によつて明かである(該公判に立会つた弁護人が弁護人所論のように成立の眞正が問題とされる右被害届について閲覽もせずにその成立を認めるというが如きことは甚しき職責の解怠であつてかかることは想像できない)さすれば該公判調書に展示した旨の記載がないという一事を捉えて展示の事実がなかつたと断定すべきではなく寧ろ展示があつたものと推断するに難くないのである。然らば所論各被害届を断罪の資料に供した原判決には所論の違法はなく論旨は理由がない。

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